(ネタバレを含みます)
「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」監督:ヴィム・ヴェンダース
観ていて不思議な気持ちになってきた。ダンスの知識は何も知らないし、言葉もないのに笑えてきたり不安になったり。言葉がない分色んなことを想像して釘付けになった。野生の動物的でもあり、人間的でもあった。イスのある舞台でふたりの体勢を変えるシーンと、オーディションのシーンと、肉を足に挟んでる踊りのシーンが好き。私は全身を自由に動かすのが苦手だから、何もしゃべらず身体の表現だけでまずは一週間くらい合宿してみたい。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」監督:セルジオ・レオーネ
初めて観ましたがもう一度観たくなる映画。子供時代がやっぱり好き。まだみんな純粋で引き返せそうな感じが好き。撃たれた男の子は存在感がレミゼラブルのガブローシュみたいだな、と思いました。あと、デボラが化粧を落としながら話しているところが好き。手の動きが心の動きみたいでそこばかりみてしまった。ヌードルスがいい人過ぎて、35年という時をひとりで経た人にしかわからない何かなのかな、と思った。こんな色褪せない映画にいつか出る!おわり
(ネタバレを含みます)
「アレックス」
監督:ギャスパー・ノエ
途中からこの映画の構成がわかってきて、物語が遡るほど、目が離せなくなってきた。事件の前と後で男二人の関係性が逆転しているような気がするのも面白い。アレックスが、自分の未来を予知していたこととか、妊娠していたこととか、後から、もう手遅れになってから知る方が悲しみとか衝撃が強いのかも、と思った。その時は何も知らずに観ていたという罪悪感みたいなものだろうか。以下、四作品すべて
監督:ロウ・イエ
「ふたりの人魚」
ロウ・イエ作品を一気に観ましたが、これが一番ファンタジックで好き。色んな結末を想像しながらみた。ふたりのヒロインが可愛くて謎めいててとても魅力的だった。主人公以外が多くをしゃべらない感じが好き「天安門、恋人たち」プールの深いとこと浅いところの境界線で主人公が座っていられなくなるところが本当にその気持ちがわかる気がしてむずむずして叫びだしたくなって一番好きなシーンです。「スプリング・フィーバー」拒絶から入ったけど観終わったらみんなのこと好きになってた作品。「天安門、恋人たち」にも自殺した人がいたけど、こんなに苦しいんだから、死んだ方が確かに楽だよなーと思ってしまう。だからこそ、その死も乗り越え苦しさの中を生きてる人たちが、強く、生きるパワーみたいなのを感じる。生き方はどうであれ、生きてるだけでかっこいいと思ってしまう…命がけで人のことを愛しているからなのかな。あとやっぱり私は女装した男性をかっこよく思ってしまう傾向があります。「パリ、ただよう花」さいきん、行方不明のパリ在住日本人女性と殺人容疑のチリ人男性のニュースがよくやっているから、なんとなくかぶせて妄想してみてしまった。花はずっと微笑んでて、正直何考えてるかわからなくて、まさにただよっていた。ただ、愛してるとか好きとかって、意味わかんないし説明できないものなんだっていうのがすごく伝わってきた。別れるって言って気付いたら同棲してたり、奥さんがいるって知って初めて泣きながら愛してるって言ったり。途中まで、ホアがどういうつもりでマチューとやってるのか、誰でもいいのか、わからなかったけど、本当に彼を愛してしまったんだなというのが痛いほど伝わってきました。不思議なのは、下手したらヤリマンとかビッチで片付けられそうなのに(アバズレは言ってたか…)、そうは思えなかったというか、そういうのを超越して、本能のままに生きてるって感じがした。それは、このロウ・イエ監督の作品に出てくる人、特に下三本全てに感じた。おわり
(ネタバレを含みます)
「モンスター」
監督:パティ・ジェンキンス
頭ではわかっていることと、衝動や愛情が、真逆のところにいて、闘っていた。あと、馴れってこわいと思った。気付いたら色んな普通じゃないことに慣れてしまってたり。アイリーンとセルビーの立場や関係性が少しずつ変わってきていることが恐かった。「スカーフェイス」
監督:ブライアン・デ・パルマ
頂点にたってからが苦しかった。あんなに最初冴えなく見えたのにどんどんかっこよく見えてきた。すごい。何もないところから、挫折と栄光と破滅(又は再生)を描く作品はたくさんあるけれど、私もやりたい。「博奕打ち 総長賭博」監督:山下耕作
恥ずかしながらこういう昭和の任侠ものの映画は初めてみたけれど、ものすごくかっこよくて好きでした。オープニングと、終わり方がまず好き。音楽字幕含めて好き。潔い。俳優たちはなんでみんなこんなに渋くかっこよく、または美しいのでしょうか。なんの邪念もなく真っ直ぐに生きている人たち、という感じがした。悪役も、悪役として真っ直ぐに悪いことをしているというか。女たちの境遇は現代を生きる私からすると不憫だけど、それはそれでかっこいい気もした。スターおわり