2020年10月28日水曜日

追悼 森川正太さん


森川正太さんが亡くなって二週間が、経ちました。


胃がんだとわかってから、死んでしまうまで、なんだかあっという間で、ほんとにあっという間で、ふわふわとした時間がただ通り過ぎています。

まだ整理するには早い気がするけど、書こうと思います。だから、整理できてない文章です。


おとうさん。
おとうさん、でした。

くろいぬケンネルで共演した清水ひとみさんが、次の公演(それが劇団ケ・セラ・セラの旗揚げ公演)で一人女優が足りないから、誰か出られる人いないか、というお話をしていて、本番見に来てくれて、私にお声をかけてくださったのが5年前。


それが森川正太さんとの出会いでした。
「俺のことはおとうさんと呼んで。」

そんな初めましての方、しかも昭和の青春ドラマの名脇役らしい、(その時は知らなかった)そんなお方に…と思ったのを覚えています。
とにかくチャーミングで懐の広い方だったのを覚えています。あと緊張して酒飲み過ぎて家に着いた記憶がないことはずっといじられ続けた…笑


その初めての、旗揚げ公演は、母を亡くしたヒロインのバイト先の先輩役でした。お母さんのお葬式に、ずっと音信不通だった父親(森川さん)が入ってくる。
稽古をして、公演があって、私は次もし呼んでくれたら森川さんと絡む役をやりたい、と思いました。

だって、やっぱりすごいんだもの。存在してて、言葉で説明できない魅力がものすごくて。

なんか舞台上で関われないのが悔しくて。

第二回公演
「No Home Rhapsody」
ホームレスの集団の中で、森川さん演じる親分を父のように慕ってる女の子をやりました。

第三回公演
「ウツワノイツワ」
稽古参加できる日程が少ないにもかかわらず、おとうさん演じる陶芸家の弟の婚約者役でした。

第四回公演
「港町ブルース」
港町で小料理屋を営むめくらのおとうさんの、娘役でした。


公演後、来年(今年)も、娘役をやってくれ。ケ・セラ・セラで、お前をケ・セラ・セラの看板にしたいんだ。娘をやり続けてくれ。

って言ってくれました。うん、って言いました。(心の中では有頂天)今年は、コロナの影響で、中止にしたのですが。

自慢?とかに聞こえたらごめんなさい。でも自慢とも言えてしまうのかな。

稽古、本番、そしてそれ以外の時間も含めて、初めて私のことを女優として認めてくれて、信じてくれた方でした。表面上じゃなく、ほんとに。
最初の頃、「敬語やめろ」と言われ続けて、無理してタメ口使ってたけど、だんだんほんとに俳優として、娘的存在として、この人を全面的に信頼してなんでも言える存在になっていました。
森川正太さんのお芝居は、人間としての生き方がそのまま出てるから、プライベートとか飲み会とか、なんとも区別をつけられません。
もちろん、稽古で、森川さんがいよいよ代役からかわって実際に立つ日は、緊張感がものすごかった。改めてすごい人なんだと思った。しかも、すごく楽しかった。勝手に笑って、勝手に涙が出てきた。なんて人なんだろうと思った。

だから、この森川さんと過ごした、一緒に作った五年間は私の自慢です。


そう、初めてなんです。こんなにも私を認めてくれて、実際にそれを形として娘をやらせてくれて、そして信じ続けてくれた人。

だから、悔しいよ。
おとうさんがどれだけ私のことを気にかけてくれてたか、私だけが知ってるかもしれない。
どこまで本音かはいまとなってはわからないけど、私は信じてます。

もっとおとうさんとお芝居したかった。
30年前に出会ってたらどうなってたかわからないけど、でも、そういう問題じゃなくて、ただ、このまま、今年はコロナだから、来年だなって言って、また飲んで、おとうさん痩せたんじゃない?とか言って、俺糞詰まりなんだよとか言って、お前さいきん××してんのか?おーそうか、いいなーとか言って、これからもおとうさんの劇団の手助けしてよって言って、うん、もちろん!って言って、お前は絶対売れる!て言ってくれて、私はお父さんと芝居がしたい!って言って、心の狭い未熟な私の愚痴を聞いて、そうかそうか、でもお前は自分を信じてやれ!お前はいい女優だからぜったいうれる、俺はわかる、って勇気付けてくれて、私もうん、絶対売れるから!!とか言って。そんな感じがもう少しは続くと思ってたよ。今も正直思ってるよ。

せっかちだよおとうさん!!!!ばか!!
最後の会話なんて一生忘れないからね!ばか!

ごめん、
一番悔しいのはお父さんだよね。痛かったよね、辛かったよね、なにも励ます言葉を選んであげられなくて、ごめんね。
お酒も飲めないし、痛いし、もういっかってなるよね。苦しまなかったのなら、よかった。よく頑張ったね。おつかれさま。
今頃、けんさんとか、いっぱい、楽しく飲んでるかなあ。

ちょっとわがままだけど、これからも私のいいとこもだめなとこも、見守っててね。

おとうさんの長くて色とりどりの人生の中でほんの一瞬だったと思うけど、出会ってくれて、ほんとにありがとう。


森川さんが、高倉さんに言われた言葉
「人生って出会いですね」 

出会いに感謝です。
こうしてであうまでに出会ってくれた皆様、ほんとうにありがとうございます。



と言っても、またふと連絡くるんじゃないかという気がして、二週間たった今、まだ実感のもてない私です。



福永理未