10月の公演で共演させて頂く浅倉洋介さんが出演されているということで、観に行って参りました。
一人の青年が、戦争に行くお話。
観る前は現実とは離れた設定の世界のお話だと思っていました。
でも見終わったら現代の私たちがとても共感できるというか想像できるお話だったと思います。
ちょうどいま、集団的自衛権の容認、様々な議論やデモが起こっていますが、生まれてから今まで私は自分の大切な人が、同級生が、家族が戦争に行って帰って来ないかもしれないという不安とは無縁で暮らしてきました。
だから戦争というのは遠い存在で、現実味がなかった。
私が本格的に落ち込むことといったら、ニートになってひきこもりになって周りに迷惑をかけながら誰にも必要とされずにそのまま死んでいく人生を想像すること。大切な友人が、家族が、恋人が変な新興宗教に入信してしまうこと、心を病んでしまうこと、自殺してしまうこと。
こういったことが戦争よりも現実的な恐怖に感じます。
実際に現代の日本ではうつ病の人や自殺する人は多いですし。(最近うつ病や統合失調症の本を読んでいたので気分が落ちこんでいます。)
これが、もし社会の仕組みが変わって、今よりも当たり前の感覚で戦争に行ける世界になったら、、、?
もしかしたら、私がいま恐怖に感じていることが減るのではないか?ということを想像してしまったのです!舞台を観て。
主人公は何不自由なくごく普通の家庭で育ちましたが、たぶん自分にしかわからない説明できない親との葛藤があって、父親と離れたくて、自衛隊をやめて死ぬために海外の傭兵になります。
かなり中略しますが、死と隣り合わせの世界にひとりぼっちで、色んな考え方の人と出会って、人を殺すことも死ぬこともできず、最終的には家に帰ってきます。
ずっと父親を憎んでいて、憎い父親でいてもらうことで自分を保たせていたのに、謝られてしまったら、これから俺はどうすればいいんだよ!今までの自分はなんだったんだよ!というようなシーンがあるのですがなんかすごくわかる〜と思いました。
自分の中の敵を支えに自分の考え方生き方を正当化して成立させていたはずなのにそれが敵じゃなくなった時愛を感じてしまった時わたしはきっとだめになるから、そういうやり方で自分を正当化するのはやめようと思いました。
主人公の葛藤は、私たちの誰もわかってくれないだろう個々の葛藤と重なり合う部分があると思いました。ここにいてもなんにもやる気がでない、何もかも捨てたい、、、
でも戦争に行って、今までの生活を離れたところから感じたり、新たな世界に触れることで自分が本当にしたいこと、生きたいのか死にたいのか、に気づくことができたのだと思います。
とても暗い気持ちになるお話でしたが、自分の中でぐるぐるしていたこととこのお話がつながって、死にたい人とか、人を殺したい人の選択肢に「戦争に行く」という項目がごく普通にある世界だったら、自殺したり通り魔になるよりも救われることもあるのではないか?と思ってしまうお話でした。
ちょうど社会の流れとタイミングマッチしてますけど、これはあくまで政治とか制度とかそういうの抜きにした舞台をみた感想です。笑
すごく創造意欲の湧く作品でした。私だったら真っ黒でカラフルなファンタジーにしたいけど…
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