2016年12月30日金曜日

ざっくり振り返りました。


2013
田舎の幼馴染
ヒーローショーのMCのお姉さん
元キャバ嬢

2014
昭和の若く熱い会社員
超能力三姉妹末っ子
健気な彼女

2015
おちぶれアイドル
わがまま彼女
熱血若手保育士
葬式にまじっちゃった先輩
不良風女子

◇2016◇
女子高生(被災)
ロボット
医者の娘
ホームレス
故人(1981没)
なにか魂のような存在


あくまで役の設定だけで比較すると、今年はまあ!
自分が生きてきた人生からは想像しがたい役ばかりでした。
正確に言えば今までやらせて頂いた全ての役がそうなのですけれども、
今年はそもそも人間ですらないという役を三度も経験しました。

憧れだったファンタジーの世界にいつの間にか足を踏み入れていたということですね!ありがたいことです。

そして、今年も公演を観にきてくださった皆様、本当にありがとうございました。

来年は、応援してくださっている皆様に喜んでいただけるような活動をもっともっとしていきたいと思っています!!

あと、これは変わらず、誇りを持ってやりがいをもってできる仕事。




今年最後にやった作品が色々教えてくれました。写真は、保坂萌さん。
御子ちゃん、ありがとう。
人間に生まれたことをたたえないと!



皆様、今年も一年お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
よいお年を〜!!




2016年12月17日土曜日

#イヴ電 のお話。

来週から、
Ne'yanka第二回公演「死刑台の上のイヴと電気箱の偶然の出会い」(略称:イヴ電)
が始まります。

クリスマスが暇な人、嫌いな人、大好きな人、
クリスマスに予定がなくなってしまった人、
人と会う予定はあるけど何するか決めかねている人、
初めてのデートの人、
毎年の王道クリスマスデートに飽きた人、
家族と七面鳥を食べる人、ケンタッキーを食べる人、
クリスマスは充実しているけど前後が暇な人、


色んな方がいらっしゃると思いますが…
是非、学芸大学CLASKAまでお越しください♡



ツイッターやらフェイスブックやらでは何度か宣伝しておりましたが、この作品、この時期にピッタリのキラキラした、小さな絵本から飛び出してきたようなお話です。
観に来てくださる皆様にとってこの作品が、小さなクリスマスプレゼントになればいいな、と密かに願っております。

Ne'yanka客演陣で唯一の二回目の出演となる私目線の勝手な比較コーナー!

どちらも共通して言えるのが、まず遠藤さんの脚本の深さ!
各章のエピグラフはじめ、参考文献や注釈、解説、あとがきなどが丁寧に脚本に書いてくださっているのですが、とても面白いです。様々な文化や歴史があってこの物語がある。知れば知るほど味わい深くなってゆきます。それでいてファンタジー好きな私にはたまらない世界観。
そんな遠藤さんの脚本を一番愛している葉さんが演出されるわけですから、これまたさらに旨味が増します。
そして、葉さんがチョイスする音楽と衣装の世界観。こちらも前回に引き続き私の大好物でございます。
会場である、CLASKA The 8th Gallaryともマッチしております!!


今回は、オムニバス形式となっており、それぞれのコントが、前回よりも肩の力を抜いて観られるのではないかという印象です。
上演時間も前回が約2時間だったのに比べ、今回は70分程度を予定しております。
ぎゅっと濃縮されたひとつひとつの物語を、ライトな心持ちでお楽しみください。


そして今回の魅力のひとつ、役者陣!
みんながみんな、萌えキャラ?というのでしょうか、なんだか可愛くて魅力的な方々ばかり。
それはもちろん、舞台の上で、という意味です!

舞台を作り上げていく過程で、それぞれの役者がそれぞれの仕事をして、それを演出家が整理して形にする、というのがもちろん理想なのだとは思いますが、諸先輩方が、自分では今まで気づかなかったことを指摘してくださったり、感想を言ってくれたりちゃんと見ていてくださるというのはとても心強く、勉強になります。
そうしてひとまわりもふたまわりもしっかりしてきたこの作品を、愛おしく思います。


ちょっと話が逸れてしまいましたが、、、

今回のNe'yankaは、童話!交響曲!プレゼント!

ご連絡はお早めに!お待ちしております。

長々と失礼致しました。

以下詳細です。



 


Ne’yanka
「死刑台の上のイヴと電気箱の偶然の出会い」

作    遠藤 良太/演出  両角 葉

子供の生まれ先を決める天使と、
女王暗殺未遂事件に頭を抱える三人の役人。
異国では、発明家が処刑装置の開発に奮闘する。

「王子の子供が天使に祝福される時、
女王はパンドラの箱によって解き放たれたドラゴンに噛まれ命を落とすだろう」

予言から始まった、この物語の行き着く先は天国か、それとも……

生命の箱をめぐる3つのオムニバスストーリー。


Cast
石井卓真(Sky theater PROJECT)
神戸誠治(エビス大黒舎)
杉村こずえ
西本竜樹(東京乾電池)
福永理未
藤本紗也香
本山功康
両角葉 
 
Time Table
2016年 
12月22日(木)        19:30★
12月23日(金・祝) 14:00/18:30
12月24日(土)     14:00/18:30☆
12月25日(日)     14:00/18:30
12月26日(月)       15:00

当日・前売りとも 3,000円
★22日は初日割引2,800円
☆24日18:30の回はイヴ割引2,800円

会場
The 8th Gallery @CLASKA
http://www.claska.com/studio/8th_gallery/

※会場はホテルCLASKAの8Fになります。ホテル内のエレベーターにて8Fまでお越しください。
※受付開始・開場ともに開演30分前
※全席自由
※当日のご入場は当日受付順となります。
※未就学児のご入場はご遠慮ください。
※車椅子でお越しのお客様は事前にNe'yankaまでお問い合わせください。


Ticket
ご予約はこちらからもできます。


Staff
脚本 遠藤良太
演出 両角葉
演出助手 磯田浩一(やくぶつ)
舞台監督 森久憲生(TANGRAM)
照明 吉村愛子(Fantasista?ish.)
宣伝美術 牛尾敬子
撮影 保坂萌
制作 花澤理恵(リトル・ジャイアンツ)
 
Ne’yanka  http://www.ne-yanka.com/

2016年12月8日木曜日

「インターステラー」「地獄の黙示録」「ラスト・タンゴ・イン・パリ」感想

「インターステラー」
監督:クリストファー・ノーラン

映画館で観ておけばよかった。
浦島太郎を壮大に膨らませたような感じがした。浦島太郎と違うのは(ほとんど全部違うけど)、時の流れが、自分の住んでいた場所とは違うと既にわかっているところ。わかっているからこそ守るものがあって、帰りたくて、その緊張感がすごく伝わってきた。
宇宙と地球の現実にありえそうな映画を観ると、あまりにも壮大なので、虚無感に襲われる傾向がある。

「地獄の黙示録」
監督:フランシス・フォード・コッポラ

みているこちらまで頭がおかしくなりそうな映画だった。
カーツ大佐は現世を捨て僧侶になったのかな?カーツ大佐のいるシーンだけ、お坊さんがいるみたいで落ち着いて観ることができた。
あと音楽の力は素晴らしいと思いました。



「ラスト・タンゴ・イン・パリ」
監督:ベルナルド・ベルトルッチ

言ってることと思ってることとやってることがバラバラに思えて、何が本物かわからなかったけどそれ全部が本物だからぐちゃぐちゃになっちゃったのかな?
気持ちのすれ違いは本当に切なくやりきれないものだなあとしみじみ思いました。

おわり

2016年11月23日水曜日

「パッション」「スライディングドア」感想

(ネタバレを含みます)


「パッション」
監督:メル・ギブソン

キリスト教とか、宗教、神の存在というのは日本人で無宗教の私にとってとても難しい存在だと思います。
だから、ただただ素晴らしい人が痛い目にあい、見てるこちらも痛く、辛く、周りはひどく、それでも救われる、という知識と情報で感想は言えるけれど、それだけでした。悔しい。



「スライディングドア」
監督:ピーター・ホーウィット

同じヘレンなのに、電車に乗れたか乗れなかったかで、浮気現場を見たか見てないかで、これだけ生き方が変わるのかとびっくりした。怒りや悲しみや悔しさは人に活力を与えてくれることもある!
色んな映画があって、心えぐられたり考えさせられたり衝撃を受けたりするけれど、観終わった後に、自分も頑張ろうって前向きな気持ちになれる映画はやっぱり大切だと思います。ヘレンに寄り添って観ることができる、愛せる人でした。

おわり

2016年11月22日火曜日

「ザ・トライブ」「こわれゆく女」「ナイトクローラー」感想

(ネタバレを含みます)


「ザ・トライブ」
監督:ミロスラヴ・スラボシュピツキー

観ていてだんだん自分も耳が聞こえない感覚になってきた。
聞こえる人が一人もいない世界だと、別の世界の生き物のようにみえた。目で見える情報が最初だから、驚きとか、衝撃が、いきなりくるんだなと思った。何か気配を感じて、足音を聞いて、振り向いて、殴られるとかじゃなくて、目に入ってすぐ殴られるというか。
疑いとか曖昧さが少なく感じた。ストレートにまっすぐに生きている気がした。




「こわれゆく女」
監督:ジョン・カサヴェテス

メイベルは少女のように素直でまっすぐで繊細な人だと思った。それがそのまま主婦になって大人になったら色んなズレが起きて何かがおかしくなってしまうのかな。だから二人きりの時とか、子供だけといる時は、とっても幸せにみえた。
いい妻であり母でありたいという想いと、周りの冷たい目と、夫から求められる像とに心がもみくちゃにされていく感じがすごく伝わってきて、泣きそうになった。すごいなあ。



「ナイトクローラー」
監督:ダン・ギルロイ

面白かった。面白かったけど、最後の最後でちょっと落胆しました。何かを犠牲にしたり、罰が当たると思ってたから。犠牲は払ってるけど淡々としすぎて目標に向かっていて、計画通りで、それはそれでかっこよく魅力的なのだけど、ここまで完璧なら落ちるとこもみたかったと思いました。
シーズン2とか作ってほしいです。



おわり

2016年11月20日日曜日

はらぺこペンギン!「鬼ヶ島平八郎一家の乱!」

2016/11/9〜13

@ 下北沢駅前劇場

遅ればせながら、全公演終演致しました。

改めまして、出会いをくださった皆様、呼んでくださった劇団員の皆様、支えてくださったキャスト、スタッフの皆様、応援してくれた皆様、そしてご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。


泉だよーん!

(青い衣装は久保田沙織さんが作ってくださいました!♡)
わたしは髪型だけでも、と思って毎日必死で巻き巻き。生きていた時代に流行っていそうな髪型にしてみました。けっこうこの髪型と衣装を印象に残してくださる方が多くて嬉しかった。

そう、故人でした。
最初は謎の人でしたが、実は鬼ヶ島家の娘で、平八郎のお母さんでした。


初めての幽霊役。
死んだことないから、現世の未練がたっぷりで、無視されるのが辛くて寂しくて(笑)、とても難しかった。

でも死後の世界がこう明るかったらいいな、とか、大切な人を亡くしていてもきっとこうやって見守ってくれてるんだよね、ってお客さんに思ってほしいなーなんて思いながら泉になってました。



奔放な性格はやっぱり鬼ヶ島の血をひいてるのかな。



事実だけを並べていくと、暗く切ないお話にもなりうるこの「鬼ヶ島平八郎一家の乱!」

それが、お客様にみてもらって、こんなに温かく笑える世界になりました。

改めて作演出の白坂さんは本当にすごい人なんだなーと思いました。

(数少ないツーショット発見!)

そしてその白坂さんの思い描く人々をまさにそのまま体現してる劇団員はじめキャストの皆々様!
本当に面白かった!すごいなー。

舞台写真を撮ってくださった石澤知絵子さんが作ってくれた写真!







この集合写真すごい好き!
仲良しーって感じの本人たちよりも
それぞれ役のキャラクターとか関係性がみえてくるから。




たいがさんが作ってくれた一升瓶。気づいた人いるかな?
ぺんぎん仕込み桃太郎、申狗雉

すごいこういうの好き!!


個人的には、演劇の街下北沢で、初めての公演。一つ目標が叶いました。
ありがとうございます。




いつものように書き出すと書ききれないので、この辺で。。。


お世話になった皆様へ、感謝と愛を胸いっぱいに、本当にありがとうございました!!
今後とも末永くよろしくお願いいたします。

福永理未


2016年10月22日土曜日

「シャンドライの恋」「ピアニスト」感想

(ネタバレを含みます)



「シャンドライの恋」
監督:ベルナルド・ベルトルッチ

終わってみると、長ーい短編を観た、という印象。
音楽の対比が気持ちの対比を表現してるみたいで素敵だった。対比から、コラボレーションへ。
私は、ハリーポッターシリーズが大好きだったので、ルーピン先生がキンスキーというだけで、もう全てがかっこよく見えてしまって、実際だったら気持ち悪く思える行動も、この人だったら許せてしまう、寧ろ受け入れてしまう、と思ってしまった。最初から受け入れ気味だったから、更に素晴らしい行動をしていて逆にいたたまれない気持ちになった
本能のまま相手とぶつかれていたらどんなに楽なのかな。理性と本能の葛藤と、相手を思いやる気持ちがお互いすれ違っているのがとてももどかしかった。
終わり方が好き。
希望と絶望?夢と現実?
夫も本当に愛してるんだよ、わかる、でもこの人のことも愛してしまったんだよね。それもわかる。それはこの作品でどっちか決めるかなんてしなくていいと思ったから。


「ピアニスト」
監督:ミヒャエル・ハネケ

こういう作品があって本当によかったと思っています。私もこんな作品に出たい。
周りからみたらなんてちっぽけなんだと言われるかもしれない、でも自分にとっては自分を形成してきた中で枷になっていた障害物があって、それはこの作品では母親だけど、母親のことは愛してる。大切に思ってる。捨てるなんてできない。でも負荷。言えない、だって嫌だけどやっぱり好きだから。
そういうありふれてそうだし何も問題は無さそうだけど何か抱えてる人って多いと思います。
そういう人が世間体とか、母親から見える「自分」というものを保つための秘密があるのは当然と思いたい。特に性的に、見ていて痛ましいくらい屈折してる秘密、衝動。
その衝動を放ってしまうことで、私にとってはある意味ハッピーエンドに思えた。
ただ、それでもエリカは最後まで葛藤し続けていた様に見えたから、そこはエンターテイメント性も少なく限りなく現実的で悲しくなった。


おわり

2016年10月20日木曜日

「エレファント」「息もできない」感想

(ネタバレを含みます)


「エレファント」
監督:ガス・ヴァン・サント
ドキュメンタリー。ドキュメンタリー番組よりも演出とか説明がないのではないか。
最後あのまま何の後片付けもなくエンドロールになって、虚しくて、最初観始めたときより強くもう一度あの日常とあの人々に会いたいと思った。
メインの男の子を主犯でもなく被害者でもなくただ遅刻してきた子なのが面白いと思った。みているこちらもどちらかに偏らない見方をしてしまうというか…


「息もできない」
監督:ヤン・イクチュン
「KOTOKO」でもCoccoがやっていたけど、サンフンもやっていた、タバコの煙を輪っかにするやつ、見てたら出来るようになりたくて練習したら気付いたのが、息もできなかった。こういう行為からも感情が生まれるのかな。
最初は救いのない話に思えて辛かったけど、過去の呪縛から少し解き放たれて、気持ちが変わっていったことに救いを感じた。
ヨンジュだけがなんかかわいそう。なんであんなにこじらせてしまったのか、理屈ではわかるけど描写では彼だけあまりわからなかった。
最初は好きじゃないかもと思って見てたけど、終わってみたら好きでした。

おわり

2016年10月18日火曜日

「マディソン郡の橋」感想

(ネタバレを含みます)


監督:クリント・イーストウッド

メリルストリープの笑い方、真似したい。
あの出会いから一気に燃え上がって一生の愛になるのはすごいなと思った。現実的なロミオとジュリエットみたい。
大事なものがたくさんあると、冒険はできないのかな、と思った。

おわり

2016年10月15日土曜日

「血と骨」感想

(ネタバレを含みます)


監督:崔洋一



人間とは、命とは、生きていくということとは、そういった根っこにあるものをダイレクトに感じさせてくれる映画でした。

今まで在日朝鮮人の歴史やしきたりや現在とかは気にしたことがなくて、差別は「はだしのゲン」とか読んで昔のことだと思っていたし、当たり前のように、自分と変わらないもしくはハーフみたいな存在だと思い込んでいた。自分はいたって普通の日本人だから何もわからない。でもつい最近今年に入ってからたまたま複数の出会いがあり、自分が知らなかったことを聞いて興味を持ちはじめていたので、そういった意味でも勉強になったしとても面白かった。

きっと飢餓感?危機感?ギリギリのところで生きてる人たちだからこそ、人間の生々しさがビンビン出てくるのだなーと思った。

生きるために
食べる、逃げる、逃げない、ごまかす、怒る、強がる、殴る、媚びる、裏切る、叫ぶ、暴れる、
幸せになるために、楽になるために
生きる、死ぬ、殺す…

人間ってこうなんだと思いました。


晩年、金俊平が息子に「好き勝手やってきたんだから勝手に死ね」みたいなことを言われたあとの間が、哀愁があって、印象に残っている。それまでのことを全て許してしまうような瞬間だった。


おわり

2016年10月12日水曜日

「Wの悲劇」感想

(ネタバレを含む可能性があります)


監督:澤井信一郎

感想とはズレてるかも。。。
この映画に関しては、未だに客観的にみれません。
私は13歳の時に、初めてオーディションというものを受けました。
その二次審査か三次審査の演技審査のひとつが、この「Wの悲劇」の「顔…ぶたないで…私、女優なんだから」でした。(私は「時をかける少女」の台本を選んでやりましたが…)
その時は全然何もセリフの深さとかその一言を言う人の人生とか考えてなかった。セリフをどれだけ感情こめて言うかとか、そのシーンだけを考えていた。だから、セリフの少ないこの台本はやめて、もうちょっとセリフの多い台本を選んだ記憶があります。それはやっぱり違うな、と。

当たり前のことなんだけど、改めて俳優とは、役を生きるとは何か、そして自分が女優を目指して最初に踏み出した日を思い出させてくれる映画です。

いまみると、三田佳子の圧倒的存在感、"女優"にやはりゾクゾクしました。

おわり

「カッコーの巣の上で」感想

(ネタバレを含みます)

監督:ミロス・フォアマン


ジャックニコルソン、小さい時に観たバッドマンのジョーカーで怖いイメージが強くて、初めてこの作品を観た時は同一人物とは思えなかった。かっこいい。かっこよすぎる。それしか今の自分には言葉が見つかりません。

見終わった後にやり場のない気持ちを叫びだしたくなる映画。希望もみえるけどなんだか悲しくて悔しくて。
この映画は、病院のシステムとか婦長の存在とか敵の存在が割とはっきりしているけれど、同じ精神病院が舞台の「17歳のカルテ」という映画、これも好きなのですが、みる人や時期によって自分の共感できる立ち位置が変わるような気がする。同性だからか、現代に近いからなのか。


おわり

「ジョゼと虎と魚たち」感想

(ネタバレを含みます)

監督:犬童一心


昔観た時はとても胸が苦しくなった記憶があるけれど、改めて見たら、どこにでもある二人のひと時の恋を切ないけど、でも前向きに平和に描いている作品に思えた。どこにでもあるという言い方は語弊があるかもですが、とても共感しやすい、という意味が近いです。
主役二人と、クセのある脇役たちのバランスがよかった。登場人物ほとんどに共通して言えるのが、最初の印象があまりよくないけど気づいたら愛してしまっているところ。
それは、みんなそれぞれの苦しみや悲しみが垣間見えて、それを乗り越えた強さとか生き方なんだとみてるこちらが気づくからでしょうか。
登場人物のある一人だけが薄ぼんやりしてみえた。なんかふわふわしてた。バランスを考えて、あえてなのかな?でも観ていてちょっとぱずかしかった。これかも、私の課題、と思った。


おわり

2016年10月8日土曜日

「エンター・ザ・ボイド」感想

(ネタバレを含みます)

監督:ギャスパー・ノエ


ちょうど8月に、3.14chの「大型」という作品を舞台でみていて、主人公のレズの女の子がクスリ、失恋、死、チベット死者の書の死後の流れを通して未練を捨てられず、失恋した相手の女性の子供として生まれるという終わり方だったので、内容に難解さを感じず見ることができた。逆にこの世界観に驚きや新鮮さを感じることができず、世界映画祭レベルの映画と小劇場のナマモノの比較として観てしまった。

映画館で音と映像を堪能したい映画だった。
ずっと夢の中にいる気分にさせられた。
ドキュメンタリーぽい人々と非現実な設定、映像のバランスが面白いと思った。

けど、あまりみていてザワザワすることはなかった。
クスリを扱う映画をみるのはけっこう好きで、経験したことないからかもしれないけど、クスリが効いてきた人の恍惚感とか、そういう人のセックスとか、廃人になっていく姿とか、そういう人に一種の色気を感じるのか、ドキドキして目が離せなくなってしまう。そういうのを期待していたのかもしれない。
あまりにも淡々と進んでいくのでぐっと引き込まれるシーンがなかった。いきなり事故シーンになったり、悲痛な叫びとかはびっくりはするけれど、引き込まれるとは違ったかも。

世界観はとても好きだけど、俳優としてこの映画に出るとしたら、この世界観を邪魔せずにその役自身の魅力を出して観る人にみせるのはとても難しいことだと思った。


おわり

2016年10月7日金曜日

「KOTOKO」感想

(ネタバレを含みます)

監督:塚本晋也


「オアシス」のコンジュが体に負荷だとしたら、KOTOKOは、目に見えない負荷、KOTOKOの世界の見え方にものすごい負荷をかけていて、それを表現するのは簡単ではないと思った。(もちろん体に障害を抱えているのも簡単ではないけれど、物凄い努力をすれば体の動きはつくれると思った)
本当に命というか精神を削らないと、または似たような痛みを経験をしていないとこのような作品は生まれない、命がけだからこそ心に響く作品になったのではないかと思った。ドキュメンタリータッチの中に明らかにフィクション(田中さんのボコボコの顔とか、最後、息子の赤ちゃんの時の記憶力がすごくて希望がもてるところ)も混ざってたので、映画としてみることができた。
モノローグがたくさんある映画はあまり好きではないと自分では思っていたけど、KOTOKOの少女のような透明感のある喋り方が素敵で、逆にその声があることによって私は救われた。


おわり

「オアシス」感想

(ネタバレを含みます)

監督:イ・チャンドン


素晴らしかった。
ストーリー展開も設定も、行ってほしくない方向に物語がつじつまがあってしまっていって、観ていてこのどうしようもない気持ちにさせられるのも。

コンジュ(と、ジョンドゥも)、これがまさに、役を演じるにあたって「自分に負荷をかける」「枷をつくる」の究極形だと思った。
自分が普通に動ける人だったらっていうコンジュの想像とか、ダンスシーンとか、ちょうちょとかオアシスの絵とか、ファンタジーのシーンがあることや、ラストシーンとエンディングの曲が暗くないことが、なんだか切なくもありでも救われた気分でもあり、前向きになれたり、とにかく素晴らしかった。
前半頑張って観てよかった。好き。


おわり

2016年10月6日木曜日

「俺たちに明日はない」感想

(ネタバレを含みます)



監督:アーサー・ペン

「ビフォア・サンライズ」を観た時には、自分が演じるなら、とか、ある程度俳優目線で見ることができていたものが、この作品では完全に観客になってしまっていた。
それは自分自身が、まだ今まで自分が生きてきたものと程遠い時代背景、境遇、価値観の人間を演じるまでの俳優になれていない、想像力とかがまだまだ足りないということなのだと痛感させられた

勝手な見解
クライドは、ゲイなんだと思う。当時はゲイとかバイセクシャルは現代よりも異質なものとして見られていたから、「女が苦手」「ED」という表現をしたのかな?そう思ってみると、勝手に物語に別テーマができて、それは世界恐慌時代という大きな苦に比べれば小さなものかもしれないけど、世間の目とか誰にも言えない苦悩があってこういう人生になって、最後に性別とかそういうものを越えた男と女の愛の形ができたのかなってなんだか感動した。
二人がやっていることはドラマチックなことだけれど、物語は一つ一つのことをそう描くわけでもなく当然のように淡々と進んでいくので(そう感じたので)、その物語を追ってるだけのつもりだったのに途中からいきなり皆が人間にみえてきた。それまで遊びのようだった強盗が、逃げ続けなくてはいけないものだと少しだけ気付いたあの家のシーンからだと思う。少しずつ皆の人間性とか変化が見えてきて、最初共感できなかったはずの人たちを好きになっていた。
最終的には、ボニーとクライドも彼らを慕う人々も巻き込まれる人々も捕まえる保安官もボニーのママもモスのお父さんもみんな魅力的でまっすぐでそれぞれの正義とか愛とかがあって役割を全うしてるから、誰目線でみていいかわからなくなってきて…あのラスト。殺されるのはわかっていたけど、そのあとなんにも余計なことしない。
あれしかないよな、と思ってしまった。